造形基礎演習II トップ
授業のねらい及び到達目標
授業のねらい
自身の手で多様なものづくり・ものとの関わりを実践して、現実に存在する物体のさまざまなアナログ(静的にも動的にも常に変容を続ける複雑な情報形態)の要素のあり方を体感し、アナログに対処する多様なスキルを学修する。物事に生じる現象の結果を想像・思考し、自らの身体と感覚を働かせ探究できる能力の研鑽は、工作技術の向上のみならず「伝わる(共感を得る)デザイン」や「デジタル表現でのリアリティ」を創作していく上でも重要な基礎となるだろう。 ここでは、『身近な物事を取り巻く状況やイメージを題材に、創造的な思考を深め、複合的な手法で表す“アウトプット”』を共通テーマとし、課題ごとに様々な手法・工夫・観点に触れていく。自身で意思をもって目の前の物体に働きかけ、自分の創作のオリジナリティの息吹を発見すること。自分の手仕事からうまれる作品との出合いに楽しみ、さらなる期待を込めて粘りつよく工夫を重ねること。そして他者の作品の鑑賞を通じて表現の視野を拡げること。アナログに対処するスキルとともに、これらの作品制作における姿勢を獲得することが、本授業のねらいである。
到達目標
- ものをつくり出す多様な視点と方法、考え方について、各作品制作を通じて学修できる。
- イメージしたものを実際に表す挑戦の中で、思い通りにできたこと・できなかったことを振り返り分析することができる。
- 自分の手仕事と作品に対して、完成を目指して粘りつよい工夫を重ねることができる。
- 作品制作の中で自身のオリジナリティとつくる楽しみを発見することができる。
演習内容
履修生は3つのクラスに分かれ、3人の教員が設定する課題をローテーションして受講する。 全15回の中で異なる3種の課題制作を行う為、各回の進行内容はタイトである場合が多い。遅刻・欠席はないように受講の事。 各課題とも作品は必ず期限を守り完成させ提出の事。各課題内容は以下【授業の形式・計画】欄を参照の事。
日程について
01-05回 | 06-10回 | 11-15回 | |
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1組 | 小林(618) | 新井田(504) | 鈴木(506) |
2組 | 鈴木(506) | 小林(618) | 新井田(504) |
3組 | 新井田(504) | 鈴木(506) | 小林(618) |
第1ターム:様々な思考手段と情報デザイン
概要
デザインとは「特定の問題を解決するための計画」のことであり、そのためには様々な思考手段を身につけることがヒントとなる。情報・アイディアをどう言語化し、分析し、整理し、最終的なアウトプットにするか、そのための思考手段を体験する。アナログ・デジタルとも情報処理の違いだけであり、本演習ではアナログ処理の視点から映像・音楽・HPといった制作物を分析した上で、自身のアイディアの実際の設計に取り組む。
授業計画(シラバス)
- 【第1回】アイディアのアウトプット(マインドマップ・ブレインストーミング)
- 【第2回】情報・アイディアの整理(分類・階層化)
- 【第3回】既存の作品の分析
- 【第4回】プロトタイプの制作
- 【第5回】情報設計
第2ターム:ストップモーションを使った映像制作
概要
ストップモーション・コマ撮りと言われる映像技法を使用して映像を制作する。目的としたもの・ことを「見ている人」に伝えること、自分が思ったことを誰かに伝える=演出することも意識する。ただ、アナログ技法のアニメーション制作では、意図しなかったものが表れることも面白さ・魅力のひとつ。計画通りにならない、その偶然性やプロセスと結果を楽しんでほしい。
授業計画
- 【第1回】アナログ映像技法ストップモーション入門「ものに命を与える」
- 【第2回】技法を活かしたグループ映像制作「時空を超えろ!」
- 【第3回】使い方(技術)から表現へ「見えるもので、見えないもの/ことを表す」
- 【第4回】「見えるもので、見えないもの/ことを表す」制作時間
- 【第5回】「見えるもので、見えないもの/ことを表す」作品発表・上映・講評
第3ターム: 抽象表現をとらえる鉛筆ドローイング
概要
紙に鉛筆で描くシンプルな技法で「抽象表現」を知り、物事への観察眼と表現のオリジナリティの獲得を目指す。絵を描くことへの固定観念からの脱却を念頭に、鉛筆のタッチ、構図への意識、観察に自身のイメージを投影させる物事の柔軟な解釈力、自身の価値感覚を他者に伝える表現の独自性を模索していく。
授業計画
- 【第1回】観察からとらえる描画「具象とは」(鉛筆画材使用の基礎)
- 【第2回】観察の視点を動かす描画「具象を多岐化する」(鉛筆画材使用の多様な考察)
- 【第3回】観察にイメージを添える描画「具象と抽象の境界とは」(鉛筆画材使用の応用)
- 【第4回】イメージを観察する描画「抽象・心象」主題作品制作(鉛筆画材使用の独自性の発見)
- 【第5回】主題作品の完成、鑑賞発表、総評
注意事項
- 3つのグループに分かれ5回授業ごとにタームが入れ替わり、全15回のうちに履修生全員が3種の課題を行う進行となる。
- 2コマ授業(一回授業につき、2限連続)。
- 各ターム必ず第1回から出席すること。遅刻・欠席のないようにすること。
- 受講希望者数が定員を超えた場合、人数を制限する場合がある。